■青函トンネル工事に全面的に協力の確認を行う町議会何としても本トンネルの入口に

この連載も昭和46年に入った。

友人の蒔絵が春助に問いただした。

「この連載なんだけど、いつまで続けるつもりなの」

春助は言葉に詰まった。

「できれば、平成31年4月30日まで今別町の出来事を振り返りたい」

と言った。

蒔絵は、

「わかったわ。でも大変よね。友達のよしみで私も執筆を手伝うわ」

春助は大いに喜び、期待に胸を膨らませた。

それでは、本題の「今別の昔話っこ」昭和46年に入っていきますが、その前に昭和45年10月28日の臨時町議会を。今まで町長の諮問機関であった青函トンネル促進委員会を解消し、新たに議会内に青函トンネル促進特別委員会(小鹿啓助委員長)を組織、受け入れ態勢を整え、青函トンネル工事に全面的に協力することを確認した。

併せて本トンネルの入口は町内のどの地点になるのかなど積極的に働きかけることになった。

今後の活動として(1)本トンネル入口が今別町に本決まりとなった場合に工事関係の労務者はどのくらいになるのか、労務者の住宅、家族の教育問題と町の発展などを調査する(2)鉄道建設公団を訪れ今後の工事内容を聞き、本トンネルの入口を今別町に決定するかどうかを確認する(3)労務者の日用品は地元から購入するように働きかける。作業員宿舎内に売店を設けるのであれば、物資は地元から仕入れるよう関係当局に働きかけることになった。

また、青函トンネルの工事に使うセメント材料の砂を運ぶため、作業道の整備を急ぐことになり、北郡中里町から今別までの県道25キロを46年度から着工、48年度までに完成の予定。

本州側で使用する砂はざっと50万立方メートル。主に西郡車力村海岸から採取して本トンネル入口まで運搬するが、冬季間の除雪などを考え、最低幅員5・5メートルの鋪装道路にする計画で、将来は産業、観光道路としても活用される見込み。

一方、トンネル内から吐き出される土砂の処理は小泊村袰内地区の民有林に廃棄する計画だが、土砂量が大変な量に及ぶところから海岸を埋め立てて用地造成を図ることも考えられている。(三厩村では用地造成を行い、今別町では行わなかった)

2月、今別町の有線放送施設が完成。3月8日に第6回農業委員選挙が無投票に…。会長に川村伊三郎氏(浜名)が選任された。

3月10日、町老人クラブ連合会が発足、初代会長に松本松太郎氏(今別)が選出された。

4月30日、今別町長選挙が行われ、対抗馬の町議会議長の中嶋久文氏が立ち、町を二分した激しい選挙戦となったが丸山氏が小差で逃げ切った。得票は丸山惇氏=2109票、中嶋久文氏=2056票。投票率は94・45%だった。青函トンネル本坑の着工地点に上磯の中心地として年々発展している町だけにリーダーシップを巡る争いもし烈で、町議会も二分された形となった。しかし、選挙後のシコリは少なく、「トンネル対策」「農業振興策」など、町勢発展に両派とも手を握っている。

7月、町観光協会が誕生。会長は丸山惇町長、副会長に田中束穂町議会議長、田中清蔵商工会会長が選出された。

11月、青函トンネル本坑工事竣工式が竜飛で開催。12月12日、第二鍋田開拓パイロット事業が完了し、除幕式が行われた。

(次号へ続く)

2022.09

今べつの昔話っこ No.49